インフルエンザに検査は必要か?
2017.12.24
理事長の伊藤です。
大分市でも徐々に流行してきていますね。
今後さらに増えていくことが予想されます。
インフルエンザの症状は突然の38℃を超える高熱や関節痛、全身の筋肉痛です。
火照った顔で来院され、風邪より症状が強いです。
普通の風邪と同様、鼻水、咳、咽頭痛もありますが、初期は高熱、関節痛だけの方が多いです。
このインフルエンザですが
1. インフルエンザの迅速検査をするかどうか
2. インフルエンザの治療をどうするか
は悩ましいです。
1について
迅速検査は発症後12時間経っていないと陽性になりにくく、さらに3人に1人は偽陰性(インフルエンザ陽性なのに陰性と判定される)という報告もあります。
よって迅速検査で陽性と判定されればインフルエンザとして治療しますが、陰性だからといってインフルエンザでないとは言えないことになります。
結局、その地域での流行状況、インフルエンザと診断された方が近くにいたか、と本人の症状から判断することになります。
ということは、
迅速検査をしなくてもいいのではないかと疑問が生じます。
答えはその通りです。
実際の現場では、迅速検査を行い陽性ならインフルエンザと診断、陰性でも上記のような状況証拠がそろっていればインフルエンザと判断します。
迅速検査が陰性で症状も典型的でない、インフルエンザの方との接触歴もない場合はインフルエンザではないと判断します(この状況で迅速検査をするのは患者さんが強く希望された時です)。
インフルエンザと判断した場合は抗インフルエンザ薬を使用します。
最近は専ら吸入1回の投与で済むイナビルというお薬を使用します。
2について
そもそもインフルエンザは普通の風邪と同様自然に治るウイルス感染症です。
幼児や高齢者、基礎疾患があるなど重症化しやすい方は積極的に抗インフルエンザ薬を使用しますが、通常の成人はその必要性はあまりありません。
解熱剤や麻黄湯(悪寒、発熱、関節痛などに効果的)だけで経過をみて全く構いません。
健康な成人が抗インフルエンザ薬を使うメリットは解熱が半日程度早くなるだけと報告されています。
そうはいってもインフルエンザと判定されれば抗インフルエンザ薬を望む方が多いのは事実でその気持ちはわかります。
1.2ともに患者さんに説明してできるだけ希望通りに治療していければと考えています。