診療案内
代表的な疾患
Disease
長引く咳について
しつこくて夜も眠れない...

コロナ禍以降、風邪症状の患者さんを診る機会が多くなりました。そのような患者さんの中で、風邪はよくなったものの咳だけが続く方が非常に多く見受けられます。また季節の変わり目に咳が続くという方もおられます。それらの咳は夜間と早朝に特にひどく、咳込んで夜も眠れないというものです。
それは咳喘息かもしれません。
咳喘息とは
風邪を引いた後や季節の変わり目などに咳だけが長く続く状態です。風邪症状はよくなったのに咳だけが2週間以上続いたりします。 風邪やアレルギー物質が誘因となって気管の粘膜が過敏になった状態となりさらに気道の平滑筋が痙攣して、咳が引き起こされます。
通常の咳止めが効きません。

(C)喘息発作時(気道粘膜が過敏状態になり、気管支の攣縮が加わり咳喘息が起こります)
Pathophysiology of asthma, published: 2023/06/24
特徴
・聴診で喘息特有の喘鳴(ヒューヒューゼイゼイ)がない。
・酸素飽和度は正常。
・呼吸困難感がない。
など通常の気管支喘息とは異なることです。胸部レントゲン写真も正常です。
診断
問診で咳の始まったきっかけをお尋ねして、聴診してゼイゼイがないことを確認し、胸部レントゲンで異常な影がないこと確認します。
それで咳だけが続いていれば咳喘息の可能性が高いです。
治療
咳喘息と診断すれば吸入薬(吸入ステロイドと気管支拡張薬の合剤)を主体に治療していきます。ステロイドは気道の過敏性を落ち着かせ、気管支拡張薬は気道の痙攣を抑えます。咳がなかなか良くならない方の中に、きちんと吸入ができていない方がおられます。しっかりと吸入することが大切で、吸入の仕方をきちんと指導いたします。加えて、アレルギー薬の内服の併用も効果的です。
当院の考え
咳喘息は命に関わるものではありませんが、夜に咳込むので眠ることができず生活の質を落とします。またうつすことは無いのに激しく咳込むので、職場や学校で肩身が狭く理不尽な思いをするものです。とても悩ましくまた治療法によって効果が大きく異なるため、当院では積極的に咳喘息に関わり、診断・治療をしています。
また必要不可欠な薬を必要最低限で処方することを心がけています。最初から強い薬、多くの薬を処方すると患者さんが重症感を抱いてしまいますし、治療が重たくなってしまいます。しかし、しっかり治療しないと咳喘息から気管支喘息に移行する患者さんが3割程度おられるので、治療の主役となる吸入薬は半年程度継続することが肝要です。
※夜間の咳が続く方の中には心臓(心不全)が原因になっている方もおられます。問診や診察で判断できます。そのような方は心不全の治療をしていきます。