診療案内

代表的な疾患

Disease

糖尿病

糖尿病は血管を障害する病気であり、特に細い血管から障害されます。
糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害はいずれも血管の障害によるものです。
さらに太い血管の動脈硬化をもたらし、心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症を引き起こします。

最近では、動脈硬化を悪化させる食後高血糖に注目が集まっています。
糖尿病の診断は「空腹時血糖値が126mg/dl以上、またはブドウ糖負荷試験2時間後の血糖値が200mg/dl以上」とされています。
一方、糖尿病の基準を満たす前段階に、空腹時血糖値が正常域や境界域にあり食後の血糖値だけが上昇する「食後高血糖」の時期があることがわかっています。
この食後高血糖が近年、動脈硬化を急激に早め心筋梗塞発症を促進することが明らかにされています。
不安定狭心症や急性心筋梗塞の患者さんの5割は糖尿病或いは食後高血糖、内約3割が食後高血糖と言われています。

日本人は欧米人と比べて、食後のインスリン分泌が少なく、かつ遅れるという特徴があります。
過食や運動不足で糖の過剰供給と処理の低下が続くと、食後高血糖がもたらされ、膵臓からは必要以上のインスリンが遅れて分泌されるようになります。
こうして起こる高インスリン血症は高血圧、高脂血症、肥満など生活習慣病を悪化させ、動脈硬化をさらに促進します。

食後高血糖は糖尿病発症の約10年前からみられる一方で、空腹時血糖値は糖尿病を発症する1年前であってもほとんどが110mg/dl以下で正常あると報告されています。
糖尿病と診断された人は、診断される以前に何年間も食後高血糖の期間があり、この間にも動脈硬化は進行し続けていることになります。

糖尿病の家族歴がある方、肥満、高血圧、高脂血症がある方は、食後1~2時間の血糖値をチェックするか、ブドウ糖負荷試験を受けて、食後高血糖の有無を調べることが重要です。
空腹時血糖値に異常がなく、食後高血糖値だけに軽い異常がみられる時期は、まだ糖尿病への進行を抑えることが可能です。
動脈硬化の進行を防止するとともに糖尿病の合併症である網膜症や腎障害、神経障害を回避するためにも積極的な食後高血糖への介入が大切です。